観測史上、一番明るいガンマ線バーストが観測される
約130億年前のビッグバンによる宇宙の始まり以降の最も大きな爆発現象「ガンマ線バースト(GRB)」では、当初考えられていたよりはるかに大量のエネルギーが生成されていることが分かった。
ガンマ線バーストは1日に1回は発生しているが、爆発的放射(prompt emission)と呼ばれる最初の放射は数分の1秒から数100秒程度しか続かない。そのためこれまでの観測では、高エネルギーガンマ線帯域での観測に成功したことはなく、その発生メカニズムの多くは謎に包まれている。しかし、技術の進歩により、ガンマ線バーストは発生を検出してから数十秒で該当位置に望遠鏡を向けられるようになってきた。
研究論文を発表した2チームは今回、2018年半ばから2019年1月までの期間に、NASAの人工衛星観測からの通報を受け、ナミビアにあるH.E.S.S.望遠鏡群とスペイン・カナリア諸島のラ・パルマ島にあるMAGIC望遠鏡を使用し、2件のGRB現象に由来するガンマ線を検出した。
この2件の観測結果についてDESYのMAGIC観測グループは、これまでにガンマ線バーストから発見されたものとしては群を抜いて最も高いエネルギーの光子が示されたと説明している。DESYは、今回の観測がGRBに関連するエネルギー量の解明の助けになるとしながら、「エネルギーの約半分がこれまで見逃されていたことが分かった」とコメントしている(AFP、ニコニコニュース、Slashdot)。