一方、「特殊な言語で警告を書いてもだめ」というケースで想定されているのは、プログラムを実行するまでは何も警告がなく、起動したら警告画面が出てきて、ボタンを押したら Windows が破壊されたというケースと思われます。この場合、何が問題になるかというと、「実行するまでどういうプログラムか知らせず、実行したらメニューが出てきてYES/NOをボタンで押せというやり方をわざわざ採用するということは、誤って実行することを期待してやっているんでしょ」と判断できるという点です。つまり、「作成者が想定している使用者の意図」は「Windowsは破壊しないつもり」で、使用者が誤って実行することを作成者は期待したのだから故意が成立し、実際に誤って実行したのだから罪になる、という判断になります。妥当な判断だと思います。
ウィルス対策ソフト作成関係者は除外 (スコア:2, すばらしい洞察)
ウィルス対策ソフト作成には、特にヒューリスティックな検出方法開発の場合、ウィルスのようなものを作る必要があるんじゃないでしょうか?
ウィルス作成可能な資格を作っておけばいいのかもしれませんね。
お役人も権益できて一石二鳥。
Re: (スコア:2, 参考になる)
>第 百六十八条の二 人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、
>三年以下の懲役又
Re: (スコア:2, 興味深い)
サンプルとして作られたものを流布するとかね。
流布させるためのロジックなんかは既存のものを..とかあると、作成っていうのかな?とも思う。
でもって、コンピュータウィルスの定義って、基本、自分で増殖して他のコンピュータに伝染するってことだよね。
でもって、そのウィルスがする他の悪さを防ぎたいのにその前段について取り締まるってのはちょっと無理があると思う。
「人の電子計算機における実行の用に供する目的」大概のソフトウェア作成者がこれに該当するね。
でもって、その「次に掲げる」なんだけどね。
「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作
Re: (スコア:0)
その解釈は誤りです。作成者の故意を問題にするとき、「使用者の意図」は、「作成者が想定している使用者の意図」が何かで判断されます。作成者が想定していない使用者の意図、たとえば、プログラムの目的を使用者が読み誤って意図に反する動きをした場合などは、故意にならないので罪にはなりません。
Re: (スコア:0)
大嘘。刑法学の権威が学会のセミナーでこう説明してる。 サイバー犯罪条約関連刑事法改正のセミナーに行ってきた [hatena.ne.jp]より
Re:ウィルス対策ソフト作成関係者は除外 (スコア:0)
その話は前提条件が落ちてますね。文脈が明確でないので正確な意味は保証できませんが、以下のような話と考えられます。
「刑法学の権威」の話は、ある事件が発生したときに、その事件で罪に問われるかどうかについて答えたものと思われます。罪に問われるかどうかの条件は、故意以外に、構成要件に該当しているかどうか、責任能力があるか、などがあるので、「刑法学の権威」の答えは、故意以外の側面も考えた上で答えているはずです。責任能力は、ここではあるものという前提になっているはずなので、問題になるのは構成要件該当性と故意でしょう。
まず、「実行者が本当にそのつもりで実行した」場合を検討します。この場合、構成要件該当性がありません。仮に作成者に故意があった(実行者が誤ってWindowsを破壊することを期待していた)としても、構成要件該当性がなければ罪に問われることはありません。したがって無罪。このケースは簡単ですね。
次に、「そういうつもりでなく実行してしまった人がいた」場合の分析です。構成要件は該当していますね。次に故意かどうかの判断です。故意と言っても実際に作成者の頭の中を分析することはできないので、最終的には、故意かどうかを作成者の行動や警告の与え方などから判断することになります。
「特殊な言語で警告を書いてもだめ」ということは、「きちんとした言語で警告を書けばOK」だということを意味しています。たとえば、PC廃棄前にディスクを消去するプログラムがありますが、それはどういうプログラムかが日常的に使う言葉で述べられていて、実行する前にどういうプログラムかが使用者に知らされるようになっているわけですね。それでもそのプログラムをわざわざインストールして実行してディスクを消去したのであれば、仮に使用者が誤って実行したのだとしても、それは使用者の過失であって、作成者の罪にはならないということです。
一方、「特殊な言語で警告を書いてもだめ」というケースで想定されているのは、プログラムを実行するまでは何も警告がなく、起動したら警告画面が出てきて、ボタンを押したら Windows が破壊されたというケースと思われます。この場合、何が問題になるかというと、「実行するまでどういうプログラムか知らせず、実行したらメニューが出てきてYES/NOをボタンで押せというやり方をわざわざ採用するということは、誤って実行することを期待してやっているんでしょ」と判断できるという点です。つまり、「作成者が想定している使用者の意図」は「Windowsは破壊しないつもり」で、使用者が誤って実行することを作成者は期待したのだから故意が成立し、実際に誤って実行したのだから罪になる、という判断になります。妥当な判断だと思います。
作成者が想定する使用者の意図が問題にならないのであれば、前者のディスク消去プログラムを使用者が誤って実行したケースも、不正な命令ということになってしまいます。実際にはそうなりません(刑法学の権威に確認してみればいいと思います)。そうなる理由は、作成者が想定する使用者の意図が問題になっているからです。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
そうでした。だいたい、作成だけで誰も騙されていない時点で罪に問えるようになっているのに、提供のときだけ騙された人が発生するのが条件になっているわけがありません。誤って実行してシステムを破壊する人が出るのを狙って提供したなら、その時点で故意あり、構成要件も該当で罪に問われるというのが正しい解釈でしょうね。
というわけで、「実行者が本当にそのつもりで実行した」ケースでも罪に問われることになりそうです。高木さんの記事で「罪に問われない」と書いてあるのは、何か誤解があるか、何らかの条件が落ちていそうです。
Re: (スコア:0)
考えてみましたが、ひとつの可能性は不能犯ですかね。
プログラムを提供した人はウイルスのつもりでも、実際には全くウイルスにはならない無害なプログラムだった場合、罪に問われることはありません。不能犯です。ちょっとややこしいのは、「誰も騙されないプログラム」かどうかの判断基準が、今は存在しないという点です。少なくとも最初は、実際に騙される人がいるかどうかで判断するしかなさそうです。つまり、「全ての実行者が本当にそのつもりで実行し、誰も騙されなかった」のであれば、無害なプログラムという判断になって罪に問われず、「騙された人が一人でもいた」ときは罪に問われる、という話だったのではないかという推測です。
これが正しいかどうかちょっと私には判断できませんが、あり得ない話ではなさそうです。
Re: (スコア:0)
その通り。
だから、バグがあるとかプログラムが有償でないと使えないとかそもそもプログラムを作らないとかいうのはプログラムに対する社会の信頼を失墜させる行為として犯罪と見なされるわけです。
Re: (スコア:0)
Re: (スコア:0)
いえ、ソフトウェア開発者以外も有罪ですよ。
ある人が俺のためにあるプログラムを作ってくれて使わせてもらえるという意図を持っていたら、作らず提供しなかったせいで実行できないというのは「意図に沿うべき動作をさせず」という要件を満たすので。
Re:ウィルス対策ソフト作成関係者は除外 (スコア:1)
>プログラムに対する社会の信頼が保護法益
信頼性の低いプログラム、buggyなプログラムも基本、対象になりませんかね?